老後資金2000万円不足問題が話題になって以降、老後資金に関して心配する方も多いと思います。
また、最近では、持ち家(不動産)のある方の資金捻出方法に選択肢が増え、どう選べば良いか悩む方もいらっしゃいます。
そこで、持ち家を活用した資金捻出方法、各選択肢のポイントについて解説します。
以下の3つの選択肢がありますね。
言葉の意味としては「逆」の「抵当・抵当権」。
すなわち、持ち家を抵当に入れて資金を借入しますが、元本返済を死後まで据え置いて、利息だけを返済する融資制度です。
聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
しかしながら問題点として、金利変動リスクや資産/担保価値評価低下リスク、長生きリスクなどがあります。
そのため、これからのライフプラン・将来の不動産マーケット・金利動向をしっかり読んで利用しないと先々後悔の元となる可能性が出てきます。
そのあたりをしっかりと見極めて検討する必要があるのです。
また、実際に使える地域は限られてきます(不動産価値の高い都市地域のみ)。
不動産会社に自宅を買い取ってもらう方法です。(手元に売却資金というまとまった現金が入ります。)
所有権は不動産会社に移りますが、家賃を払いながらそのまま自宅に住むことができます。
リバースモーゲージのリスクを解消できる方法とも言われており、金利変動リスクや資産/担保価値評価低下リスクは無くなります。
しかし、デメリットやリスクはしっかりあります。
まず、買い取り金額は市場の6割程度となること。かなり安くしか売れません。
次に、売却した後は、一般の賃貸入居者と同じ扱いをされるということ。
つまり、戸建て賃貸の家賃(集合型賃貸よりも高い可能性がある)を払う必要があり、家賃滞納などが発生すると、退去対象となります。
更に、高齢期にリースバックを利用した場合、その後、例えば足を悪くしたなど、戸建てでは住みづらくなっても住み替えが難しくなることも考えられます。
(安く売却し、高い家賃を払って住み続けるため、せっかくの資金が早くショートするケースがあります。)
住み替え先は、都心の分譲マンションという方もいらっしゃれば、賃貸住宅という方もいらっしゃいます。
ポイントは、バリアフリーで安心・安全な住宅であることです。
賃貸住宅では、サービス付き高齢者向け住宅が代表格ですが、最近では、一般の賃貸住宅でも「高齢であることを理由に入居を断らない」物件が増えてきましたので、かなり選択肢は広がっています。
アクティブシニアの場合は、有料老人ホームなどの「施設」は候補としない方が良いでしょう。
すぐ嫌になって出てしまう方が多いです。
相続人が複数(特に子世代)いらっしゃる方は、所有権である分譲マンションよりも賃貸住宅の方が良い場合もあります。(相続トラブルを避けやすいため)
安否確認サービスが付いた、または将来対応可能な物件だとなお良いです。
ただし、「売却して住み替える」という選択はし辛い方も多いです。
「住み慣れ、想い出のある自宅から離れたくない」
多くの方はそう思うものですね。
でも、だからと言って、安直にリバースモーゲージやリースバックだけを検討し選択してしまうと後悔の元となります。
実際に後悔されている方が多いのが現実です。
必ず全ての選択肢を比較検討し、全てのメリット・デメリット・リスクを理解したうえで、冷静に判断するべきです。
そのためには、今後のライフプランや不動産マーケット予測(現価値、将来価値)、自宅建物の状況(立地や安全性)などをしっかり現状把握し、きちっと分析した上で各選択肢を比較する必要があります。
ご自身にとって(あるいは親御さんにとって)、将来を見通した上でどの選択肢がベストなのか、しっかり見極めて選択をいただきたいと願います。