相続土地国庫帰属制度ってどれだけ良い制度なの!?CFP 後藤 明2023年5月6日読了時間: 3分相続土地国庫帰属制度が、2023年4月27日よりスタートしました。耳にしている方も多いのではないでしょうか。この制度、簡単に言えば、相続した不要な土地を国が引き取ってくれるというものですが、はたして使い勝手はどうなのでしょうか。ということで、実際の使い勝手について私の見解をお伝えいたします。まず概要から。1.相続すること 当たり前ですが、必ず相続することが基本です。 相続人で揉めていたり、何らかの要因で相続登記ができないままでは申請できません。2.更地であること 建物などの工作物や車両・樹木などの有体物が有る場合は、解体など撤去を事前に行う必要があります。 つまり、その費用を相続人が負担する必要があるということです。3.第三者による権利の設定や使用の予定が無いこと 国は、管理を阻害するものがある場合は引き取ってくれません。4.利用・活用に弊害のないこと 崖や土壌汚染などがあると、管理や処分ができない可能性が高いので引き取ってくれません。 また、接道がないことも利用・活用に弊害がでるので帰属は認められません。5.境界が明らかであること 測量等までを求めないとしていますが、現実には測量が必要となる可能性は高いように思います。 何故かというと、境界不明な場合、片方の一方的な主張が通らない可能性が高いからです。 つまり、こちらが「ここで良いですよね?」と言うと、隣地は「いや、もっとそっち!」と言いがちということです。他にも諸条件があります。更に、6.10年分の管理コストを「負担金」として納付する これについては、原則20万円(面積にかかわらない)とありますが、 実際に適用されるケースは限定的に感じます。 何故かというと、 国に引き取ってほしいと思うための条件は「売れない」であり、逆に言えば「誰もいらない」ですが、 ・市街化区域・用途地域の指定のある地域の宅地 (空き家だらけの古い団地など) ・農業振興地域内の農用地の指定のある田・畑 (田舎の田・畑) ・森林 (山) など、本当に要らなくなりそうな土地は別に計算規定があり、結構な高額負担となりかねないからです。 20万円の対象となり得るのは、地目が雑種地・原野となっている土地か、都市計画区域外もしくは 市街化調整区域内の宅地(田舎の農家住宅)などに限定されるのではないでしょうか。■まとめ以上を考慮すると、なによりもかなり条件に制約があることと、国庫に帰属させるためには、解体費・測量費・管理費負担額など、かなりの費用がかかることが予想されます。となれば、「相続土地国庫帰属制度」はコストを覚悟して選ぶ『最終的』な選択肢とはなっても、優先的に選択すべきものではないということです。皆さんは、相続してから「どうしよう!!」と焦ることにならないように、できれば「親世代が元気なうち」に方向性を探っていただくことをお勧めいたします。
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