相続税の節税対策は本当にすべきか!?
相続対策というと、
「相続税の節税」対策のことだと思っている人が本当に多いです。
特に男性(お父さんですね。)は、
自分が苦労して稼いだ資産や先祖代々の資産を
少しでも多く子世代に残したいとの考えから、
節税対策に注力する人が多いです。
しかし、
「得する!」とか「損しないために!」というフレーズで集客し易い節税は、
事業者の恰好の利益獲得手法に使われることも事実です。
その代表は、
皆さんがご存じの賃貸住宅建設です。
アパートなどの賃貸住宅を建てると、相続税の節税対策になる!
これで多くの地主さんがアパートを建てています。
この「賃貸住宅建設」という手法に関わる利益獲得関係者は、
住宅メーカーのみならず、
管理会社、税理士、不動産コンサルタント、JA(組織による)、金融機関など、
多岐にわたります。
彼らは、紹介した地主がアパートを建てることで、
紹介料を獲得(建築費の3%程度)したり、管理を受託したり、
融資を獲得したり、保険(共済)を獲得したりと、
収益を得るわけです。
つまり、「相続税の節税」というキーワードは、
事業者が利益を得るために利用されやすいということです。
ただし、事業者が利益を得るということ自体は全く悪くありません。
なぜなら、
アパートを建てるかどうかの判断は、あくまで地主の自己責任だからです。
つまり、事業者が「アパートを建てませんか?」と言ってくることが悪いわけではなく、
地主自身が正しい選択をできるかどうかの問題なのです。
また、現金等、流動性の高い金融資産の多い人の相続では、
遺産分割もし易いですし、
相続人にとっては相続税を多めに納税したとしても、
「困った」ということにはなりません。
したがって、出来る範囲の節税をすればいいと思います。
問題なのは、
財産の多くが不動産という方です。
そういった方ほど相続税の節税対策として賃貸住宅を建築します。
ところが、相続で「困った」が発生するのは、
決まってそういう方の家族です。
私は11年間、賃貸事業のみに従事してきました。
その経験から言うと、
賃貸住宅建設に向いている立地は2割のみです。
8割の立地は向いていません。
しかし、「相続税の節税」を目的に建てる方は、
向かない8割の立地だとしても建ててしまうのです。
そのため、建てた後、経営に苦しんだり、
相続の際に、子世代が負の遺産となったアパートの管理で
「困った」となったり人が多いのです。
私は今までどれだけこのケースに直面してきたことか。
これからは、もっと件数が増加することでしょう。
言いたいことをまとめますと、
1.金融資産の多い方は、相続で子世代が「困った」にはならないので、
無理のない範囲で節税を行えばよいです。
2.財産の大部分が不動産という方は、やるべきは「相続税の節税」ではなく、
納税資金の確保です。
そのうえで分割対策を考える。
アパート建築をして良いのは、立地が良い人のみです。
(人気主要駅徒歩10分圏内、地位の高い立地、もちろん嫌悪施設は皆無、高低差無など)
しかも、「賃貸事業」をしっかり勉強してからにしてください。
「節税」に目がくらみ、あとで「しまった」とならないように選択をしてください。
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