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空き家賃貸で押さえるべきポイントは!?

空き家対策に取り組んでいると、よく賃貸の話がでることがあります。


例えば、


空き家となった実家をどうしようか悩んでいる。手放すのは気が引けるし、かといってこのままにしておくのもどうかと思う。どうしたら良いでしょうか?


とか、


以前の記事でお話しましたが、リフォーム業者や不動産業者から「手放したくないなら、とりあえず賃貸にしといたら?」と提案されているけど、本当に大丈夫でしょうか?


といった感じです。


もちろん、賃貸するという選択肢もありますので、よくわかって選択いただくなら問題はありません。


ところが、空き家所有者だけでなく、勧める立場のリフォーム業者や不動産業者ですら、「建物を賃貸するとは!?」をよくわかっていないと感じることばかりなのです。


そこで今回は、空き家を賃貸するならば最低限押さえておいて欲しいポイントについて解説いたします。

1.借地借家法を理解する


建物を貸して賃料を受取る「事業者」は、その分借り手を保護しなさい!という考え方のため、借り手の権利がものすごく強くなっています。


代表的なものは、貸主からの契約解除は正当事由がある場合を除き認められないというものです。


この場合の正当事由は、どうしても自分が使わざるを得ない事情のことを指しますが、簡単に言えば自分がそこに住まないと他に住む場所が無いような状態です。


通常、自分が住んでいる住居を自分が退去してまで貸す人はおらず、一般的には「余った家」もしくは「賃貸用の建物」を貸します(自宅は別に所有している)から、上記の正当事由はほぼ認められないことになります。


つまり、何かの理由でどうしても退去させたい場合は、入居者に立ち退き費用を払ってお願いするしかないこととなります。

(建物の老朽化は、家主の修繕責任は発生しても入居者退去事由とはならないのです。)


以前にご相談いただいたケースでは、入居者に退去要求したら、入居者さんが弁護士に相談し高額な立ち退き費用を請求してきて困っているという事案がありました。


ある意味、借り手の権利ですので、同様のことが起こることを想定する必要があります。


その対策でよく提案される方法として「定期借家契約」があります。


定期借家契約であれば、契約で定めた期限が到来すれば契約を終了させることができます。


通常は2年毎などで契約を更新する「普通借家契約」が一般的ですが、上記の立ち退き問題はこの普通借家契約で起こるため、事業者側が契約の更新の無い「定期借家契約」を勧めるわけです。


ところが、逆の立場で考えると、数年間の期限を定められた契約の物件に人は入居したいかどうかです。


例えば「3年間の定期借家契約」だとすると、その間しか住めないリスクが入居者側にあるわけです。


そんな物件、私なら選びません。


少し家賃が高くても長く住んでいられる物件に入居したいですね。


それが人の心情だと思います。


つまり、定期借家契約の最大のデメリットである「入居者が決まらない」リスクが発生します。


そもそも立地がとても良く、競争力のある物件なら話は別ですが、一般的には賃料をかなり低く設定しても入居者が決まらない要因となることもあります。


もし、賃貸する際に数百万円で修繕など行っていたなら大損の可能性もあります。


所有者の都合で退去させられない「普通借家契約」を採用するのか、退去はさせ易くとも入居者が決まらない可能性のある「定期借家契約」を採用するのか、立地などの諸条件を考慮しながら決める必要がありますね。


2.建物の維持管理責任


建物を賃貸する場合、所有者は入居者が適切な状態で利用できるように維持管理する義務を負います。


つまり、給湯器が故障した、雨漏りがするなど、入居者の使用に適切でない状態が生じた場合、所有者の責任で修繕をする義務があるわけです。


古い建物を貸す場合は、この修繕費が思いのほか発生し、収支を圧迫することも考えられます。


「定期借家契約」で家賃を低く設定していた場合など、収入よりも支出が多くなり「何のために賃貸してるかわからない!!」という事態に陥る可能性もあります。

(現実にそうなって後悔しているオーナーはたくさんおられます。)


つまり、建物の状態をしっかりと見極めた上で、これからどれくらいの修繕費を見込む必要があるのかを想定し、収支予測を何度も分析してから賃貸するかを決定する必要がありますが、一般的にはやっていない人ばかりのようです。


3.災害時の損害賠償責任


たとえば地震が起きたとします。


通常、天変地異による建物の倒壊で被害を与えた場合は不可抗力として責任を問われないものです。


ただし、それは「建物が通常有すべき安全性を確保していた」場合です。


もしも地震で建物が倒壊し入居者に被害を与えたとして、損害賠償請求されてから調査をしてみたら、その建物は「元々、通常有すべき安全性を欠いていた」としたらどうでしょうか!?


きっかけは地震だったとしても、建物の安全性を確保していなかった責任もあるとして所有者に損害賠償責任が及ぶことも充分にありえます。


所有している建物は、見えない部分だらけだが、本当に安全性を有しているのか!?


ずいぶん古い実家の建物は、建てた当時、本当に手抜き工事もなく万全な施工をしてくれていたのか!?


こういった検証・確認と、場合によっては補強工事、そして欲を言えば保険などによるリスクヘッジを複合的に対策しておきたいところです。


これらも、一般的にはほとんど未実施のようです。


ということで、最低限、上記3つは押さえてから賃貸するかどうかを判断していただくことをお勧めします。


このお話をすると、多くの方は「そんなに大変なら賃貸なんてしたくない!」という反応をされています。


では、どうするのか!?


家族・親族がその空き家を使う予定がなく、賃貸もしないのであれば「手放す」の一択になるはずです。


不動産は使えば価値がありますが、使わなくなったら「負担」しかありません。


とにかく放置せず、すぐに判断⇒行動に移していただくようお願いいたします。


以前の記事でも解説しているので、良ければご参考に!

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