間違いだらけの相続対策、代表3事例とは!?
「相続対策」を相続税の節税対策と捉えている人が本当に多いです。
それは何故か!?
情報発信をする側がそう伝えていることが多いからだと思います。
税理士は、ほぼ100%、相続税の節税を指して「相続対策」と言います。
アパート建築を行う住宅会社も同様です。
つまり、世間の人は、
発信者が発信している情報をそのまま受け取っているにすぎません。
その結果、間違った捉え方をしてしまっている。
もちろん、情報を発信する側に悪気は無いと思います。
しかしながら、結果的に正しい情報として世間に伝わっていないということ。
情報過多の現在、そういったことがやたら多くなっていると感じます。
少しキツイ言い方をすれば、
「悪意のないフェイク情報」が溢れかえる世の中になってしまっています。
ということで、間違った情報の結果、対策を間違えてしまう事例の代表を3事例ほど
ご紹介させていただきます。

≪暦年贈与による失敗事例≫
相続税の節税対策の代表が暦年贈与です。
年間110万円の非課税枠を使った贈与で節税を図ろうというものです。
税理士はよくこう説明します。
「贈与は誰に対してでもできます。相続人以外に、お孫さんに贈与しても大丈夫です。」
「お孫さんに贈与すると、効率よく贈与できますし、
相続開始前3年間以内加算の対象から外されます。」
これにより、孫に贈与する人がいらっしゃいます。
ただ、贈与は契約なので、受贈者が贈与の事実を認識していないといけませんし、
受贈者が自由に使える口座に振り込まなければ意味がありません。
となると、受贈者が成人ならまだ問題ないですが、
未成年の場合、高額なお小遣いが毎年自由に使える口座に振り込まれることになります。
よく聞く話は、受贈者の孫が金遣いが荒くなったり、意欲をなくしたりする現象です。
また、それを避けるために、
贈与を受けたお金で所得税型の生命保険に加入させる人もいます。
(そうした方がいいとアドバイスする人も多いです。)
もちろん、メリットはあります。
逆に保険のデメリットである途中解約で後悔している人が出てきています。
ちなみに、来年以降、「相続税と贈与税の一体課税」により、
贈与の非課税制度は無くなるかもしれません。
≪アパート建築の失敗事例≫
これは本当に多いです。
100%言えることは、区画整理が進み仮換地となると、必ずアパートがタケノコのように乱立します。
昔は、空き地を所有している人に「相続税対策でアパート建てませんか?」
と営業をかけていた住宅メーカーが、
今は、空き家を相続した人や、持ち家が古くなった人にまで営業の範囲を広げています。
アパート建築を主力としている住宅メーカーは自転車操業なので、
新規の受注が無いと経営が維持できません。
そのため、あの手この手で建築を勧めてきます。
本来、「アパートを建てる」ということは「事業を開始する」と同義なので、
立地とノウハウと覚悟が大切です。
しかし、ほとんどのアパートオーナーは、
「相続税対策」と「一括借り上げで手間なし安心経営」に踊らされ、
競合だらけで入居ニーズの低い土地でも平気で建て、ノウハウを身に着ける努力もせず、
管理会社に任せきりにしていますので、失敗するのは当たり前なのですが、
皆さん理解をされていません。
そのため、所有者である親御さんが失敗に気付く人もいれば、
相続の際に子世代が大変な目に遭うか、
ということが頻繁に起きています。
≪遺言書がもとでトラブルとなる≫
これまで何度も遺言書を持参されトラブルの相談に来られた人を見てきました。
「争族対策には遺言書」とよく言いますね。
しかしながら、それを間違えて捉えてしまっている人が多いように感じます。
遺言で大切なのはプロセスです。
家族全員が納得した内容を遺言書としておれば問題ないですが、
遺言する人と遺言される当事者だけが遺言の事実を知っており、他の家族は知らない。
相続が発生して初めてその事実を知る。
これではトラブルになって当たり前です。
でも、遺言書作成にあたっては、上記のようなケースが多いように感じます。
もちろん、仕方なくあえて伝えないこともあるとは思います。
ところが、そうでない場合でも他の家族には伝えずに遺言書作成をしてしまっていることが
多いのではないでしょうか。
でなければ、こんなに遺言書がもとのトラブルが多く発生するわけがないのです。
以上、3事例をご紹介しました。
共通する問題点は、総合的に対策を検討した結果の対策としていないことです。
誰かに勧められたとか、取り扱う専門家に言われるがまま手続きしたとか、
単純に進めてしまっているのです。
関連するその他のことを踏まえて総合的に検討した結果、メリットのみではなく、
デメリットやリスクも踏まえて判断しておれば、
そんな結果にはならなかったと思えることばかりです。
皆さんは、一部の選択肢のメリットに飛びつくようなことは避け、
総合的に検討の上、ベストな選択をし、後悔のない対策を実行いただくようにしてください。
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