空き家となった実家は「とりあえず賃貸に!」とすべきか!?CFP 後藤 明1月22日読了時間: 3分更新日:4月1日ご相談者の中に、「実家が空き家となった」という方が多く見られます。今後どうすべきかとお悩みの方もいらっしゃいますが、手放すことには抵抗があるというご意見をお聞きします。そんなとき、いろいろなところで「じゃあ、とりあえず賃貸に出したら!?」という意見を聞いている方もおられます。はたして、実際のところはどうなのでしょうか!?建物を賃貸する場合、原則、借地借家法の適用があります。これは、貸す側は賃料という対価を受取る事業者なので、それだけ重い責任があるということを前提に、借り手側を守る法律となっています。つまり、貸した以上、借り手を保護しなければならない訳です。ところが、意外と誰もが借地借家法を知らないか、もしくは甘く見ているように感じます。先日も、依頼者からの相談で、空き家をリフォームする計画をした際、リフォーム会社の担当者が賃貸を勧めているという話を聞きました。あまりに軽く勧めているようなので、貸し手の責任の話をしたところ、全く認識していませんでした。地元の不動産屋さんと話していても「売らないなら、とりあえず賃貸にしといたら!?」と勧めているとのこと。やはり、借地借家法等の所有者責任についてはあまり気にしていないようです。本来アドバイスする立場、プロであるリフォーム会社や不動産屋自体が、建物を賃貸した場合の所有者が取るべきリスクなどに触れないケースがほとんどなのだと、私は認識をしたものです。では、建物を賃貸した場合に、その建物の所有者(賃貸人)が取るべきリスクはなんでしょうか。第一に、貸したら自分の好きなタイミングで入居者を退去させることが出来ない点です。とりあえず賃貸し、数年経過した時点で「やっぱり売却しようかなあ」と思っても、賃貸人側から賃借人を退去させるには立退料などを支払い入居者を保護しながらでないと出来ないということです。多くの方は、この点を一番甘く見ていますね。次に建物の保存・修繕責任です。建物の所有者は建物を良好な状態で保存しなければなりません。耐震を含め、設備の老朽化など通常使用によって劣化した部分の修繕責任があります。これは、修繕コストの問題だけでなく、地震などで倒壊した場合も想定して考えねばなりません。少し前にサポートさせていただいた方のケースですが、古い実家をとある事業者に賃貸する話のご相談を承り、私が賃借人との契約条件からリスクヘッジの交渉や調整まで全てお手伝いしましたが、その際に仲介に入っていた不動産屋さんから、「こういった案件を多く仲介していますが、このような条件を入れることになったのは初めてです。」と言われました。私からすると、賃貸人のリスクヘッジのためには必須な項目ばかりなのですが、一般的には全く条件補完がされていないのだなぁ!とビックリしたものです。といったように、建物を賃貸する場合、かなり大きなリスクを伴いますので、賃貸を検討する際はけっして「とりあえず」と軽く考えるのでなく、メリット・デメリット・リスクを正確に把握した上でしっかりと検討してから判断することをお勧めします。世の中、いいかげんなアドバイスが溢れていますので、事業者(建築業者や不動産屋など)の自己利益(自社利益)都合でのアドバイスは信用しない方が無難ですね。
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